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#002 - 放心とも取れる笑顔

  voice of KYOTO 独自インタビュー企画

voice -inside- vol.4 くずし割烹 枝魯枝魯 枝國栄一




枝魯枝魯編 | #002 - 放心とも取れる笑顔  



「燃え尽きてます。」

うっすらと笑みを浮かべているように見えた。


枝國のその笑顔には濁ったものなどなにもなく、
意識を極限まで排除し、
仕事に没頭した板前としての喜びに満ちているように感じた。

その時は、確かにそう感じたのだが、
翌日の仕事風景をみると、解釈はまた違ったものになる。

「入ったら京都でしょ?」の言葉の通り、
そこは「枝魯枝魯ひとしな」と何ら変わらない空気を携えていた。

「ここは Paris で、
 18区の Abbesses の街にいるんだよな?」

そう自問自答するほど、
異国の地にあって緊張を保っていた心は、
落ち着いたし、安らいだ。

残っている客も、
食事はとうに終わってにも関わらず、
会話を楽しんでいるようだ。

確認はしていないが、
みんながみんな、知り合いではないだろう。

しかし、
カウンター越しに始まった枝國との会話は、
すでにカウンターの客同士の会話へと広がりをみせていた。

これもまた、京都の枝魯枝魯を思わせる風景だった。
オープン初日にして、横の広がりが生まれている。

ここ Paris でも枝魯枝魯の在り方は変わらない。


インタビューまでの間、
しばらく、お酒を頂きながら待つことになった。


翌日の仕込みをしながら、
枝國は客をもてなす。

「僕の人生間違いだらけなんで。」

と言ったかと思えば、

「もう香りがついたんでね、
 飽きた彼女のように捨てるんですよ。」

と冗談まじりに、
香りづけに使ったミントの葉を投げ捨てた。


黒を基調とした店内は、
「 枝魯枝魯 ひとしな 」とはまた違った表情を見せる。

カウンターは、
店内にコの字型に大きく広がる。

黒の台座の上の透明の天板をあしらったカウンターには、
器やグラスはもとより、時には店内の景色そのものが映り込み、
空間に不思議な奥行きを与えている。

「この黒のカウンター、
 また料理がぐっと引き立ちますね。」

そんな問いかけに、
枝國は力強く頷いた。

「いやー、映えますね。」
「ぐっと、創作意欲がわきますよ。」


やがて、最後の客が店を後にする。

枝國栄一の、枝魯枝魯 Paris店 での長い一日が、
オープンまでの長い道のりが、ようやく一つの終わりをむかえた。


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